読み聞かせをしたいけど、次はどんな本を買おうかな、と悩んでいませんか?
子鉄が喜ぶ電車の絵本をさがしているママパパにおすすめ!
中央線の運転士として働くママと家族の、心あたたまる絵本をご紹介します。
この『ぼくのママはうんてんし』は、子鉄も、電車好きじゃない兄弟も一緒に楽しめる絵本です。
『ぼくのママはうんてんし』
絵本のきほん情報
- タイトル:『ぼくのママはうんてんし』
- 出版社:株式会社福音館書店
- 作:大友康夫
- 発行日: 2012年09月15日
- シリーズ:福音館の科学
- ページ数:36頁
- サイズ:28cm×24cm
- SBN: 978-4-8340-2742-6
対象年齢
福音館書店のホームページによると、対象年齢は以下のとおりです。
読み聞かせ:4歳から
ひとりで読む:小学生低学年から
絵本の内容は?
ストーリーや、絵本から得られる情報をご紹介します。
登場する主な電車
- JR東日本 E233系 中央線
少しだけ登場する電車
- JR東日本 E231系 中央・総武線
- JR東日本 E205系 中央・総武線
- JR東日本 E231系800番台 中央線(東京メトロ東西線)
- JR東日本 工事車両(推定)
ストーリー
主人公のぞむのママは中央線の運転士、パパは看護師。
のぞむは、ママの誕生日に、サプライズでお祝いをしようと思いつきます。
作戦は、ママが中央線の運転中に跨線橋を通過する3時51分、ママが跨線橋を通過する3時51分に、ハートの旗を振ること。
パパに早く保育園にお迎えにきてもらって、パパと妹と一緒に跨線橋から旗を振るつもりです。
しかし、ママの誕生日当日、仕事を早く終えて保育園にお迎えに来るはずのパパが、急な手術で来られなくなってしまいます。
大泣きするのぞむに、保育園のお友達と先生が、一緒に跨線橋に行こうと提案します。
みんなの協力で、保育園のみんなと跨線橋でママの運転する電車に間に合わせることができました。
一方、のぞむたちが跨線橋にいることを知らないママですが、運転席からのぞむが作った旗を見つけてくれたのです。
そして、のぞむたちに向かって「プオーン」と電車の警笛をならしてくれました。
トラブルもありましたが、のぞむの作戦は大成功です。
得られる知識・学び
心あたたまるストーリーも最高なのですが、知育にもつながる学びがあります!
- 路線図で現在地を確認
- 時計の読み
路線図で現在地を確認
主人公のママが運転する電車が、「今」、中央線のどの駅のあたりを走っているのかがわかる路線図がストーリー中に登場します。
駅名もひらがなで書かれているので、子鉄にもやさしいです。
時計の読み
この絵本では、時間が重要なポイントになっているので、風景の中や、文章の隣に何度も時計が登場します。
アナログ時計のイラストと共に、「ごぜん」か「ごご」であるかの表記、そしてデジタルの時間表記もあります。
絵本の特徴
- すべてひらがなとカタカナで書かれている
- 文字数多めで読むのに10分以上かかる
- 複数場面が同時進行する複雑なストーリー
ママの仕事場、のぼるの保育園、パパの仕事場の三つの場面が同時進行する部分があります。
シンプルな幼児向けの絵本と比較すると、少し複雑な場面展開になっています。
おすすめポイント
この絵本をぜひとも読んでほしい理由をご紹介します。
大人にも読んでほしい!
主人公のママもパパも、(おそらく)ともに夜勤のある仕事をしています。
この絵本では、夫婦が協力し合い、お互いに思いやりながら育児をしています。
そのため、ママが夜勤の日には、パパと子供たちだけで夕飯を食べる、という場面が登場します。
現代、当たり前になりつつある場面ではありますが、まだまだ子供向けの絵本で登場するのは珍しいと思います。
ジェンダーにまつわる女性の働きづらさや、偏見を子供たちに感じさせない絵本です。
子供だけでなく親や祖父母の世代にもぜひ読んでもらいたい絵本です。
『くまくんの絵本』シリーズと同じ
この『ぼくのママはうんてんし』は、福音館書店の名作『くまくんの絵本』シリーズの絵を担当している大友康夫さんの絵本です。
『くまくんの絵本』シリーズは、『こんにちは』『いただきまあす』など、乳幼児にぴったりのほっこりするお話がたくさんあります。
少しずつ成長するくまくんに子供が共感を抱いているように感じます。
- 『いただきまあす』
- 『HOW DO I EAT?』(『いただきまあす』の英訳絵本)
- 『どうすればいいのかな』
- 『HOW DO I PUT IT ON?』(『どうすればいいのかな』の英訳絵本)
- 『こんにちは』
- 『よういどん』
- 『ぼくうんてんできるんだ!』
- 『いってきまあす』
- 『おとうさんあそぼう』
我が家には、私が子供の頃に読んでいた『おとうさんあそぼう』がありますが、息子も一歳の頃からよく読んでいて、3歳を過ぎた今もたまに読んでいます。
我が家の子鉄(3歳)の反応
『ぼくのママはうんてんし』は一度の読み聞かせで10分以上かかる長い絵本です。この絵本を一緒に読んだ3歳の息子の反応をご紹介します。
パパの真似してママにちゅっ!
主人公のぞむのママとパパは仲良しで(おそらく)ラブラブ。
絵本の中では、パパがママのほっぺにちゅっとキスをするシーンが描かれています。
そのシーンに感化されたようで、息子が絵本を読むと、私のほっぺに「ちゅっ」とキスしてくれるのです!!!!
もうママ(私)は嬉しくてたまりません。
寝かしつけの絵本の時間は「早く寝てくれ~」と念じてイライラすることも多いのですが、この絵本を読むときはキュンキュンです。
場面展開がちょっと難しい?
息子にとってヒット作であることには違いないのですが、場面展開にちょっとついていけていないように思いました。
保育園、ママの職場、パパの職場の複数場面が同時に進行していきます。
「なんでここ(ページ下部分の小さなイラスト)にのぞむ(主人公)のパパがいるの?」と、息子は複数場面のイラストの意味をなかなか理解できずにいました。
この絵本の対象年齢が4歳~になっているのはそういう理由なのかも。
でも、もっと大きくなったら、より一層楽しめると思うと楽しみです。
跨線橋と歩道橋の違いを知る
跨線橋とは、線路を跨ぐ歩道橋のことです。(色々な細かい区分があります)
跨線橋に限らず、歩道橋を歩くのが大好きな息子。
この絵本で初めて「跨線橋」という単語を覚えました。
はじめは聞きなれない「跨線橋」という単語に不可解な表情を見せましたが、その違いを説明すると、新しいワードに出会えたからか、とてもわくわくした表情を見せてくれました!
そして、電車に乗ったときに、「あれが跨線橋?」としっかり確認もしていました。
ちょい足し知育
この『ぼくのママはうんてんし』を読んだら、ちょい足し知育をしてみましょう!
シリーズ本を読んでみよう
厳密にいうとシリーズではありませんが、この絵本の作者である大友康夫が絵を担当している『いちばんでんしゃのしゃしょうさん』と『いちばんでんしゃのうんてんし』という絵本があります。
絵の雰囲気やカラーがとてもよく似ているので、一見するとシリーズのように見えます。
『ぼくのママはうんてんし』と比較すると、物語というより車掌と運転士の密着ドキュメンタリーのような絵本です。
たまに運行中におきるトラブルや始発電車の車掌・運転士の実況中継並みの細かすぎる描写が面白い、電車好きにはたまらない、ガチ勢向けの絵本です。
鉄オタである私の夫も「すごい。面白い。」「そっか、始発だから総武線のホームに…」となるほど~と納得をしながら読んでいました。
我が家では、しばらく図書館で借りてしのいでいたのですが、ついには購入した超絶おすすめ絵本です。
読み聞かせをしたいけど、次はどんな本を買おうかな、と悩んでいませんか? 子鉄が喜ぶ電車の絵本をさがしているママパパにおすすめ! 大人も驚く、とにかくすごい電車の絵本をご紹介します。 ひてつママ 3歳の息子が[…]
跨線橋に行ってみよう
跨線橋とは、線路を跨ぐ歩道橋のことです。
『ぼくのママはうんてんし』でも、何度も登場します。
跨線橋は線路沿線に住む人にとって必要なものなので、割とたくさんあります。
家から近い跨線橋をさがしていってみましょう!
通過する電車の名前や型名を覚えたり、路線によって通る電車が違うことにも気づいたり、色々な発見があると思います。
絵本に登場する跨線橋
作中の三鷹跨線人道橋は、三鷹車両センター(三鷹車両基地)を跨いでいる鉄道好きには有名な跨線橋なのですが、2021年に三鷹市が取り壊しすることを発表しています。
老朽化と維持費の問題があるためのようです。
実際に取り壊すのはまだ先のようですが、近い将来無くなるようです。(2022年4月11日現在)
そのため、見に行くなら早い方がいいです!
中央線、総武線、東西線を一度に見ることができる、子鉄が喜ぶこと間違いなしの跨線橋です。
ちなみにこの跨線橋は、太宰治が好んで通った場所としても有名です。
大人にとっても、大文豪に触れる素敵なお散歩になると思います。
時計の読み方を覚えよう
この『ぼくのママはうんてんし』では、今現在、何時なのかが重要なポイントになっているので、作中には何度も時計が登場します。
アナログ時計のイラストと共に、「ごぜん」か「ごご」であるかの表記、そしてデジタル表記もあります。
絵本の読み聞かせをしつつ、時計の読み方を教えてあげましょう。
我が家では、交通新聞社の『でんしゃでおぼえる!とけいえほん』を使って時計の読み方の練習をしています。
まとめ
この『ぼくのママはうんてんし』は、子鉄だけでなく、大人も、電車好きでない兄妹も楽しめる絵本です。
もちろん子鉄にもめちゃくちゃおすすめの一冊。
そして、育児と仕事の両立を夫婦で協力して頑張りたいママパパにも読んでもらいたい一冊です。
「こんな協力的なパパ、なかなかいないよ」というママもいますが、何かのきっかけになるかも!
もしそうならなかったとしても、子供に「子育ては夫婦で協力するもの」というイメージを伝えるのには一役買うのではないでしょうか。
色々語ってしまいましたが、そんなに重く考えずとも、単純に楽しめる絵本です。
ぜひ一度読み聞かせをしてみてはいかがでしょうか。